TYPE-MOONの軌跡とは
はぁ、奈須きのこ天才やん。
吾輩の小説なんか、一生何も芽が出ずに潰れてしまうんだ……
いや、芽が出ないも何も。お前まだ何もしてねぇじゃん。
生きてるだけなんやから、本の紹介しろ。
……TYPE-MOONは、皆さんご存知の中学校の同級生である奈須きのこと武内祟(たかし)によって結成された同人サークルデス。
ゲームを主体として傑作を生み出し続け、商業へと移行した日本有数のクリエイティブ集団デス。
で?
……この本「TYPE-MOONの軌跡」は、天才クリエイター二人が出会ってから、大ヒットゲーム「月姫」を製作し、現在バカ売れゲームアプリ(Fate/Grand Order)製作までの歴史が書かれてマス。
ほう
……ただ、売り上げなどを並べるのではなく、クリエイター達のゲームにかける情熱や裏話などTYPE-MOONファンは勿論、そうでなくとも、一読すべき内容となってマス。以上デス。
悪い、消しゴム貸してくれ
稀代の小説家・奈須きのことイラストレーター・武内崇との出会いは中学校の消しゴムの貸し借りから始まるーー。
- TYPE-MOONの始まりーー奈須きのこと武内崇
- 『月姫』が辿った道
- 「システム」の創造ーー『Fate/stay night』
- 境界線を切り裂くためにーー『空の境界』
- 拡大する「Fateシリーズ」と「TYPE-MOONらしさ」
- ノベルゲームにおける達成ーー『魔法使いの夜』
- スマホゲームの可能性を探る「旅」ーー『Fate/Grand Order』
- TYPE-MOONという星座
引用;TYPE-MOONの軌跡 目次
本書は上記の構成で話が展開される。
吾輩は、ゲームはしないのでわからんが、小説としての「空の境界」「DDD」はホントに良い作品じゃった。
彼の文章はオシャレで、ただただ格好いい。
確かに、村上春樹のような例え上手でなければ、三島由紀夫のように美しい文章ではない。
しかし、吾輩が尊敬してやまない夏目漱石のようにオリジナルの単語を作り出して世界観をより深いものとし、行間が壮大で文章の奥底に眠る美しさが心に響いていく。さらに、文章構成も秀逸なミステリーであり、謎が謎を呼び、そして解決していくカタルシスを味わえる。
というか、あんな素晴らしい小説も書けて、マルチエンディングのゲームのシナリオも書けて、
仲間からの信頼もあつい。
果たして、吾輩が生まれてきた意味はあるんじゃろうか……
「TYPE-MOONらしさ」とは何かという問いに対し、武内祟は「奈須きのこの遊び心と美学」であると答えました。
これを見たとき、吾輩は感動から一粒の涙が頬を伝った。……勿論、嘘じゃ。
例えば、トヨタ自動車「FUN TO DRIVE , AGAIN」三菱電機では「Changes for the better」といったキャッチコピーがあるが、TYPE-MOONは、奈須きのこありきのキャッチコピー。
ある種、独裁的とも感じられるが、皆がそれを求め、目指し、多様なクリエイターがブレずに進んでいく。
中小企業にはカリスマが必要なんじゃと思う。
武内崇と奈須きのこの関係を読み解くに連れて、アップル社設立のジョブズとウォズニアックを想起させられマス。
程度の差はあっても、そういう尊敬しあえる間柄で夢に向かうというのは、大変美しいのでありマス。
時代についていくセンスが凄い
彼らは時代についていくセンスが凄い。
月姫では、時代の流れのノベルゲームに伝奇という個性をぶつけた。
Fate/stay nightでは、さらに拡張性の高いシステムを練り上げて、ブランド価値を向上させた。
その汎用的なブランドから多様な派生作品を作成し続け、
スマホアプリとブランドの融合させて、大ヒットゲームを作成した。
TYPE-MOONは、小説、映画、ゲームといったメディアの枠にとらわれることはない。
今後は、VR、IoT等、どんどん最先端に挑戦し、ヒットを続けて、我々を楽しませてくれるのだと思う。
クリエイター魂が燃え上がる
ただ、彼らも他の偉大な先駆者と同じように、最初から調子よく頂点に上り詰めたわけではない。
「月姫」制作時には、二人とも仕事をしながらも創作に情熱を注いでいた。
武内について以下のような記載がある。
実質的に作業できるのは退社後で、彼はほぼ毎日、帰宅してから夜三時まで『月姫』の作業をこなし、翌日に出勤するという生活を続けていました。
例え残業があろうとも、三時までは作業を続けていたんじゃ。才能だけでなく、執念もあるんじゃ。
奈須も仕事が忙しく、忙しい時には、1日に二十時間も仕事しており、とても作業をできる環境ではなかったようで、武内は以下のようなことがいったそうじゃ。
武内は奈須に、「生活費は俺が出すから、お前は『月姫』に専念してくれ」と告げ、貯金を切り崩して奈須の生活を支えたのです。
生活の面倒を見るなんて、奥さんでも嫌なのに、同じ夢追い人とはいえできるものだろうか。
まあ、吾輩の両親は50近くになっても、吾輩の面倒を見てくれておるので、そこらへんは負けておらんが……。
才能だけでない、執念と努力。
仕事が忙しいといった、環境に流されない、受動的にならないこと。
吾輩と真逆じゃん。
最後に
吾輩は甘えてた!!クリエイター魂が湧いてきた!!!
ナトゥメ・ソーセキ改め、ナトゥ・キノコになるんじゃ!!!
いいことやんか。社会のために頑張ろうぜ。
まずは、武内崇のような相方探しのために、才能豊かな人を見つけて、消しゴムを借りまくるぞ!!!
……それでは、次回もたなやしきで待ってるぞ!!