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星を継ぐものとは?
月面で5万年前の遺体が発見されるところから、物語は始まる。
遺体はチャーリーと名付けられ、五万年前に死亡したことが判明する。
トライマグニスコープ(物質を透過させる装置)の開発者であるヴィクター・ハント博士は、チャーリー調査の依頼を受ける。ハント博士は、優秀な学者たちを取りまとめて、チャーリーの謎を追っていく。
ハント博士は、多様な証拠や推測から、論理的に謎に立ち向かい、チャーリーだけでなく、ホモ・サピエンスの生い立ち、太陽系の謎を解き明かしていく。巨人の星シリーズの第1作目。
[prpsay img=”https://tanayashiki.com/wp-content/uploads/2017/11/icon.ntm_.smile_.jpeg” name=”ナトゥメ”]吾輩はこのシリーズについて、本作『星を継ぐもの』しか読んでいないが、一冊でも十分楽しめる作品となっている。
本格SFが初めてな人でも、是非読むことをオススメしマス。[/prpsay]
著者・ジェイムズ・P・ホーガンって?
ジェイムズ・P・ホーガンは、ロンドン生まれのハードS Fの巨匠。日本でも、優秀なSF作品やSF活動に贈られる星雲賞を3度受賞している。
科学的理論に基づいて展開される本格的なSFのこと
ハードSFといっても、フィクションであるので、科学的に証明された風に書いてあるので、事実無根の内容も多いため、現実で自慢気に話さないよう注意が必要。
突然だが、かの有名な『名探偵コナン』の主人公・江戸川コナンくんは、以下のような名言を残している。
不可能な物を除外していって残った物が…たとえどんなに信じられなくても…それが真相なんだ!!
名探偵コナン 第29巻より
コナンくんの言葉は心に響く名言であるが、ジェイムズ・P・ホーガンは逆の思想を持っている。
たとえ理論的にありえないことが現実で起こっているとしても、それは現実で起こっているのであり理論を疑ってかかるべきだ、みたいな思想。
『星を継ぐもの』では、理論的に考えるとありえないことが沢山発生し、その度に色々なアイデアは消滅していく雰囲気が生まれる。しかし、現実に起こっている以上理論を疑う精神の主人公・ハント博士は謎に立ち向かっていく。ハント博士は作者の写し鏡なのだろう。
ネタバレあり感想
ここからは、ネタバレを含めて感想を書いていく。ネタバレが苦手な人は、まず『星を継ぐもの』を読んでからチェックしてほしい。
星を継ぐもの (創元推理文庫) [ ジェームズ・P.ホーガン ]
チャーリーとは何者だったのか?
チャーリーは、学者の間でルナリアン(月の住人)と定義される。
しかし、生物学的な特徴から、我々サピエンスと同じ進化を遂げているため、地球と無関係であることはありえない。そこから、過去に滅んだ進んだ文明で月に飛び立った我々の祖先である、とか、ルナリアンは全く別の惑星で生まれてサピエンスと同じ進化を遂げた、といった様々な仮定が生まれるも否定されていく。
そんな中、木星の衛星ガニメデから、宇宙船が発見される。宇宙船の乗組員は巨人族であり、サピエンスやルナリアンとは全く違う惑星から来ていることがわかる。
火星と木星の間の惑星・ミネルヴァという惑星が過去にあったことがわかり、ガニメアンはミネルヴァの生き物であることが想定される。ルナリアンもミネルヴァ出身であり、高度の文明を持つ、ミネルヴァから月へと移動したためにチャーリーは月で遺体となっていたのだ。
しかし、我々サピエンスと同じ生物学的特徴を持つルナリアンがミネルヴァ出身なのか?
[prpsay img=”https://tanayashiki.com/wp-content/uploads/2017/11/icon.ntm_.smile_.jpeg” name=”ナトゥメ”]真相は以下である。吾輩が読み解けていない部分があるので、詳細は違うかもしれないが……ご参考までに。[/prpsay]
- 惑星ミネルヴァは、大気が異常であり、生態系が崩壊していた。そこで文明的には発達していないが、多くの生物が暮らす地球から動物をミネルヴァに移動させた。
- ミネルヴァに移動した我々の祖先は、文明を発展させた。この発展した種族がルナリアンである。
- 現在の地球の月は、元々ミネルヴァの衛星であった。
- 文明発展を遂げたルナリアンとミネルヴァ原産の巨人・ガニメアンは戦争して争うようになる。この影響で月の裏がデコボコとなる。
- 文明度が高い両者の兵器で惑星ミネルヴァは最終的に崩壊する。
- 月はミネルヴァ崩壊により、ミネルヴァの引力から離れ、太陽系を移動し、地球の引力にひかれて地球の衛星となる。
- 月に残ったルナリアンは、生き残るために地球へと移動し、当時地球を支配していたネアンデルタール人を最新兵器でボコボコにして、地球を統一する。このルナリアンが、我々ホモ・サピエンスの祖先である。
トンデモ話だが、現実に起こった事象から導かれる唯一の答えなのだ。
『星を継ぐもの』からの知恵
天才の学者たちを束ねるハント博士。専門家たちは自分の分野では圧倒的な知識を持つが、専門の枠を超えた思考はできない。
ハント博士がチャーリーの調査のリーダーの任につけたのは、専門的で固執した考えばかりでなく、柔軟なマクロな視点で見ることができるからである。
我々も固執せず柔軟な考えを意識すれば、人生に直面する難題を解けていけるのかもしれない。そう、ハント博士のようにね。
最後に
SFはあまり読まない。
嫌いというわけではないが、壮大でありすぎたり、時代の流れとともに古臭く感じてしまうのもあるし、何より専門用語が多くて取っ付きにくい。
でも、『星を継ぐもの』は読みやすかったし、ためになる情報も多かった。
『星を継ぐもの』を読んでみて、他にもSFを読んでみたいなーと思えた。SF苦手な人だったり、読んでみたいなって人にもお勧めできる作品でした。
[prpsay img=”https://tanayashiki.com/wp-content/uploads/2017/11/icon.ntm_.smile_.jpeg” name=”ナトゥメ”]それでは、次回もたなやしきで待ってるゾ〜[/prpsay]
星を継ぐもの (創元推理文庫) [ ジェームズ・P.ホーガン ]