シロクマさんのブログを読んで、僕もここらへんで人生を振り返りたくなった。コンテンツによる人生の棚卸を行、本記事を書くことを決意する。長文だけど、タイトルだけでもご覧いただけるととても嬉しい。
幼稚園時代の8本(1992〜1995年)
僕という人格の原初の記憶は幼稚園児から始まる。幸せなことに幼稚園でたくさんのコンテンツに触れさせてもらえた。のちの人格形成大きな影響を与えたであろう8本のコンテンツ。テレビゲームと初めてであったのも幼稚園だった。
3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?
普通のアホヅラで可愛いネコが主人公のほんわかハートフルアニメーション。感動シーンやトラウマシーンも多く、幼い心の成長に大きな影響を与えた作品。今でも何かでタマの姿を見ると物哀しい気持ちになる。
フルハウス
妻を亡くした夫ダニーが、妻の弟ジェシーと親友のジョーイと協力して、個性的な小さな3人娘を育てていく。おそらく日本で最も有名なホームコメディドラマ。幼稚園に集団登校する前にNHKで観るのを楽しみにしてたのを今でも覚えてる。
明るいノリ、金髪、大きなクリスマスツリー、ジェシーおいたん、ピザとアメリカ文化に憧れた。末っ子ミシェル役のオルセン姉妹と同い年とずっと思いこんでたけど、本記事のために調べたら少しお姉さんだった。
ちなみ当時僕は3姉妹ならステフ派だった。
「超ムカつく!」(なつかしのステフの名ゼリフ)
Netflixで続編のフラーハウスもやってるよ。僕は過去の楽しかった記憶のままでいたいので、観ていないけど。
ぐりとぐら
たぶん日本の幼稚園児全員が見てた絵本。御多分に洩れず僕の人格形成に大きな影響を与えたキモいネズミ。
大きな卵で作ったカステラは悔しいながら、数十年経った今でも食べたいと思わせるほど美味しそうである。
スーパーマリオワールド
生まれた初めてしたゲーム。それが『スーパーマリオワールド』。僕の家はゲームがなかったので、ゲーム目当てで毎日のように幼稚園時代の友達の家に遊びに行ってた。
マントで飛んだり、隠しステージがあったり、カラフルで色んな種類のヨッシーに乗れたりと楽しくて仕方なかった。マリオワールドの楽しかった思い出が、30歳を超えた今でもゲームをしてる根源的な理由になっている。
ウルトラマンレオ
僕は父親の影響から、幼稚園児の段階で昭和ウルトラマンシリーズを全て完走するという英才教育を受けていた。ふふ、ウルトラマンエリートと言ってもらって構わない。そんなエリートの私が選ぶ脳汁ドバドバ作品No.1が、ウルトラマンレオなのだ。
ウルトラマンレオは初回からぶっ飛んでいる。人気ウルトラマンのウルトラセブンが3匹の怪獣にリンチされ、足をバッキバキに折られて、再起不能になってしまう。その足を折られる様は、幼稚園児にはトラウマだった。
再起不能となりセブンに変身できなくなったモロボシダンから地球を守るために修行を受けることとなる。滝に打たれたり、必殺技を学んだり、熱い師弟物語が始まっていく。
ここでレオの悲しい生い立ちを紹介しておこう。レオは実は他のウルトラマンと違い光の国(M78星雲)ではなく、獅子座(L78星雲)出身である。獅子座は先ほどセブンを再起不能にした怪獣・マグマ星人に壊滅されている。レオは環境が似た地球に移り住んでいる宇宙難民なのである。作品中故郷や家族を想うレオの姿には涙を誘われる。
さて、そんなレオも地球で新しい人間関係を気づいていく。地球を守るチーム・MACの一員となり仲間ができ、厳しくも優しいモロボシダンという頼れる師匠ができ、同じスポーツジムで働く恋人もできる。孤独難民のレオが徐々に違う星の人々と交流する様子も物語の大きなテーマなのだと思う。
そして……仲間、師匠、恋人たちはシルバーブルーメという怪獣に皆殺しにされるのだ。急展開すぎるよね。子供向けだよね。意味不明だよね。(実はオイルショックでスポンサーが減って人件費が払えなくなったのが原因らしいが、子供が知る由もない)
レオはトラウマが多い作品である。レオが氷漬けにされてノコギリ全身解体されてバラバラにされたり等、子供を恐怖に陥れる演出がたくさんある。
それでも、心動かされるストーリー、他のウルトラマンと違い光線ではなく肉弾戦多めのアクション、生き別れた弟・アストラとの連携、個人的にすきなレオのフォルム、とレオは当時の僕を魅了した一大コンテンツだった。
特捜ロボ ジャンパーソン
「おしえてくれ、キミは誰だ? どこからきて、そしてどこへ?」
突然現れた全身紫の奇妙なロボットが、圧倒的な戦力で悪を殲滅する特撮シリーズ。おそらく僕にとって生まれて初めての勧善懲悪モノだった。
ジャンパーソンは人間ではなく、完全なるロボットで合理的であるため、正義のためなら効率的な暴力も厭わない。ジャンパーソンの独断と偏見の正義の実現のために発揮される圧倒的パワーに僕は釘付けで、まさに脳汁ドバドバだった。
ジャンパーソンはどんな攻撃も最強ボディで跳ね返し、無言で近づきパンチ一発で再起不能にさせる。
膝にはロケットまで埋め込まれていて、その気になれば日本沈没させるのもワケない(曖昧な記憶なので間違っていたらすみません)、
しかし、日本を破壊するようなことはしない。ジャンパーソンは自らの正義のためにしか暴力は振るわない。ジャンパーソンが毎話主張する狂気的なセリフがある。
「ジャンパーソン、フォージャスティス!」
DVやテロリストのような暴力による訴えかけは、僕の心に大きな影響を与えたヒーローである。
勇者特急マイトガイン
SL機関車や新幹線が変形合体して巨大ロボになるアニメ。合体シーンだけで脳がキリキリしてた。
オモチャで弟と戦いごっこしてた。
ほんとに合体ロボットが大好きだった。今はあまりかっこいいと思わないけどさ。
電光超人グリッドマン
電脳世界で戦うウルトラマン的なお話。パソコンが僕の周りにはなかったのもあり、コンピュータの世界感に衝撃を受けた作品。大学で情報工学を専攻したのも作品の影響があると思う。
また、新作オリジナルアニメの『SSSS.GRIDMAN』も面白かったけど、当時のワクワク感はあまりなかった。年齢のせいだと思う。
小学校時代の14本(1995〜2001年)
小学生になり、漫画や小説を読む知能を身につけることができ、コンテンツの幅が広がりを見せていく。
ドラゴンボールGT
説明不要の大人気マンガ『ドラゴンボール』の続編。強すぎる悟空がドラゴンボールで幼少期の姿へと変えられてしまう。子供悟空がスーパーサイヤ人になると、本来の大人の姿に戻り強くなる。大人への成長願望と強いものへの変身願望と世界を救う英雄願望を見事に満たしてくれた作品。
「大人になる=強くなる」という価値観の植え付けられたものの、見事大人になった現状を見るとうすら笑いが止まらない。
NINKU -忍空-
『NARUTO』が出るまでは、忍者アニメ=忍空ってイメージだった。
元忍空組1番隊隊長・子忍(ねにん)で風の風助と呼ばれ、とぼけた顔と体型をしながらも作中最強の忍者である。必殺技は螺旋丸(らせんがん)……じゃなくて、その元ネタの空圧拳。
書き出してて、幼い頃は子供なのに強いってのが、好みだったんだなぁとわかった。
ミュータント・タートルズ
亀のミュータント4人組が下水道に住みながら、脳みそのボスの悪と戦うぶっ飛んだお話。
青鉢巻で二刀流のレオナルドが好きだった。正式名称は『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』っていうみたい。
ピクルスを初めて知ったのも、このアニメだった。そういう意味では教育アニメだった。
とってもラッキーマン
運で全てを解決するというコンセプトにやられた。どれだけ努力しても、友達がいても、パワーがあっても、強運には勝てない。こんな小学生みたいな絵で読ませてくるガモウひろしはほんとに天才だと思う。
地獄先生ぬ〜べ〜
手袋して何度も鬼の手ごっこをした。
『地獄先生ぬ〜べ〜』は、取り扱うストーリーの幅広さがものすごい。精神を抉ってくる妖怪の怖い話、腹を抱えて笑うギャグ回、ドキドキが止まらないお色気回、絶鬼との死闘のような手に汗握る生死をかけたバトル回、ぬ〜べ〜がシリアスカッコいい回、涙腺ゆるゆるの感動回、ぬ〜べ〜と律子先生とゆきめの三角関係を始めとする恋愛ドラマ、と何でもあり。アニメもよかった。青春だった。
きんぎょ注意報
少女マンガほつまらないという幻想をぶち壊してくれた作品。笑えるし、可愛いし、最高だった。少女マンガを読み始めるキッカケとなった作品。
最近少女漫画は全く読んでいないが、心にヒットする年齢があるんだろう。もう一度、年老いた心に突き刺さる少女マンガを読んでみたいものだ。年はとりたくないモノだ。今、わぴこ、ちーちゃん、ぎょぴちゃん達と出会っても何も感じないだろう。
ちびまる子ちゃん
少女マンガで最も有名な作品の一つで、ほんわかな絵柄にもかかわらず、ブラックなギャグが多くて大好きだった。アニメよりもマンガの方が、ぶっ飛んでて楽しかった。
仮面ライダーBLACK RX
昭和仮面ライダーで一番好きだった作品。
『仮面ライダーBLACK』の続編。前作も素晴らしい作品であるが、RXの素晴らしい点はライダーのフォームを変更できるところだ。圧倒的な耐久とパワーを持つロボライダー、そして液体になり何も攻撃が効かなくなる反則級の強さを誇るバイオライダーに変身するその格好良さは小学生の僕の心を魅了した。
しかし、今あらためて見てみると、そのフォルムは完全にバッタなので少しキモい。
エルマーと16ぴきのりゅう
エルマーがりゅうを助けに冒険する『エルマーのぼうけん』シリーズの最終巻。
エルマーにりゅうの友達ができるだけでかなり興奮したが、最終話には16ぴきも出てくる。テンション爆上げだった。
まさか数年後にドラゴンを殺しまくって、素材を集めるゲームにハマることを当時の優しい僕は知らなかった。
ファーブル昆虫記
僕は虫が大好きだった。野原・森・沼・池を駆けずり回って虫を捕まえまくっていた。
将来はファーブルのような昆虫博士になるためだ。
ファーブルは本当に憧れの存在だった。
社会人になった今ではファーブル博士をさらに尊敬している。大人になっても、あのグロテスクな生物にご執心なその熱量が枯れない姿勢が素晴らしい。
こゝろ
教科書に載っていたのを読んで一目惚れした。以降夏目漱石のファンになった。
友人と1人の女性を取り合うなかで、友人を精神的に追い込んで自殺に追い込み、女性と結婚するが心に闇を抱えて自殺するストーリー。僕の死生観とラブコメ観に大きな影響を与えてくれた。
スーパードンキーコング
初めて我が家にやってきた記念碑的なゲーム。何回も完全攻略したし、何人もの友人の家で高難易度ステージ・ふぶきの谷をクリアしてあげた。何回しても飽きなかった。一種の麻薬だった。ただし、副作用で視力はかなり落ちた。
ゼルダの伝説 ムジュラの仮面
三日間の時間ループを繰り返しながら、クロックタウンを救うゲーム。同じ世界の中でリンクとプレイヤーが成長していく。僕の嗜好と完全に噛み合った傑作ゲーム。死ぬまでにこんな素晴らしいゲームをもっとやりたい。
スターウォーズ
男の子は誰でも一度はジェダイに憧れた。漏れなく僕も幾多の夢見る男の子の一人だった。
特にダース・モールの赤いダブルブレードはクールさが暴発して、僕の脳汁が大洪水だった。正統派主人公よりヒールが好きなのは、ダース・モールの影響が大きいと思われる。
中学校時代の9本(2001〜2004年)
中学生になり、コンテンツだけで生きていくのは難しくなっていく。無駄に全国レベルでキツかった部活や塾通いでコンテンツの摂取量が少なくなっていた。時間が足りないからこそ、コンテンツへの渇望が増していき、さまざまなジャンルに手を出していくことになる。
横山光輝 三国志
「歴史を学ぶためにマンガとか非効率で教科書や本読んだ方が全然楽。というか歴史マンガなんてそもそもつまらない」という幻想をぶち壊してくれた作品。
食い入るように何周も読んで日本の武将よりも全然詳しくなった。西暦200年代から国内でずっと戦ってるような中国とは絶対戦争したくないね。
ちなみに三国志のおすすめコンテンツの記事書いてたので、気になる方は読んでくれると朕は嬉しゅうござる。
仮面ライダー555
ガラケーで変身する仮面ライダー
と聞くと、ダサすぎるけど、本作の斬新すぎる発想には度肝を抜かされた。
・怪人(オルフェノク)は恨みを持った人が死後に変身する:怪人=悪からの脱却
・ベルトとガラケーがあれば誰でも(怪人ですらも)ライダーになれる(例外あり):仮面ライダー=正義からの脱却
これらの設定から、ライダー同士の戦い、怪人同士のライダーベルトの取り合い、怪人がライダーになって人間を襲うといった様々な心踊らされるシーンが連発する。毎週次回が楽しみでしかたなかった。
普通の人間でもライダーになれる。
中学生になり、自身に無限の未来などなく、ただの凡人にすぎないことを理解しつつあった僕にも英雄になる可能性という希望を与えてくれた作品だった。
ギャラクシーエンジェル
僕が記憶する最古の萌えを認識したアニメ。
『カードキャプターさくら』、『セーラームーン』、『デ・ジ・キャラット』といった今思えば萌え系アニメといえる作品も数多くみていたが、観ているところを親に見られるのが恥ずかしいと初めて感じた記念碑的作品。
可愛くて個性的なキャラクター達が繰り広げるギャグは本当に面白かったし、親から隠れて観るという緊張感を含めて僕をハイにさせるには十分だった。
ヴァニラさん、あなたは天使だ
十角館の殺人
当時読書は好きだったが推理小説はあまり読まなかった。有名な『シャーロックホームズ』シリーズと『ポワロ』シリーズくらいしか読んだことなかった。
この本と出会ってから推理小説を積極的に読むようになった。小説で謎解きや叙述トリックといった読書の新しい面白さに触れられた素晴らしい作品。本作を初めて読んだ時の感動がいまだに消えないので、「普段ミステリー読まないけど、何読めばいい?」と聞かれたら、とりあえず薦めるようにしている。
サイレントヒル3
ビビりすぎて夜眠れなくなったゲーム。
怖いけど、見ちゃうというホラーあるあるを具現化していた。怖すぎるけど、ストーリー気になって進まずにはいられない。
ゲームは一人で楽しみたい派だったが、怖すぎて家族が近くにいることの大切さを学べた。
ファイナルファンタジーⅩ
PS2で初めてプレイしたゲーム。映像が綺麗すぎてドキドキした。あの時の衝撃は忘れられない。
主人公とヒロインがキスをするんだが、ほんとにキスしてるのがわかるだけですごかった。
肌感もすごかった。僕の目で見る人の肌と同じだった。
瞬きも人間がするソレと同じだった。
スクウェアが世界で一番綺麗なゲームを作る会社だと信じて疑わなかった。ゲームといえば日本だ。本気でそう思っていた。
Nirvana – NIRVANA
中二病で洋楽にハマる人は多いと想う。僕もそうだった。金髪イケメン、カリスマ、猟銃自殺と心酔するには十分だった。このベストアルバムを何百回と聴き込み、ノートに自己流で和訳したりとイタいこともしたし、当時はネット環境がなかったので、ロック雑誌のグランジ特集を探し求めてた。偉大なことを成し遂げて、華々しく若くして自殺することに憧れを抱いたりもした。
「憧れは理解から最も遠い感情だよ」
BLEACHの藍染隊長の名言を思い出す。まさにそれで、何も成し遂げずにのんびり30歳を超えた今の私は100歳まで人生を楽しみたいと考えている。カート・コバーンから世界で一番遠い存在である。
ハンニバル
レクター博士シリーズで上げるなら、『羊たちの沈黙』だろという主張は痛いほどわかるが、僕は『ハンニバル』が一番脳汁がでたので仕方がない。
カニバリズムという衝撃。そして脳みそを料理のフルコースのように食す画角が、脳みそが焼ける……もとい脳裏に焼き付いている。
Magic the gathering
マジック:ザ・ギャザリングはトレーディングカードゲームだ。大会に出るほど強いわけではなかったが、お小遣いを注ぎ込むくらいには夢中になっていた。特に絵画のようなグラフィックとカードに書かれた詩的なテキストが好きだった。
おれは一歩を踏み出したんだ。降りたんじゃない。
「堕ちたる者ヴォルラス」のカードに記載
彼は世界に対して怒り、家族に対して怒り、自分の人生に対して怒っていた。だが、だいたいは理由もなく怒っていたんだ。
「怒り狂うゴブリン」のカードに記載
ドミナリアの灰色熊から走って逃げてもむだだ。追いつかれ、たたきのめされたあげくの果てに食われちまうのがオチだ。 もちろん、木に登るのは手だろうさ。 そうすれば、灰色熊が木を倒してお前さんを食っちまう前に、ちょっとした風景を楽しめるからな。
「灰色熊」のカードに記載
今読んでもかっこいいなぁ。このおしゃれポエム。
高校時代の7本(2004〜2007年)
地元の私立の中高一貫校に入学したことで、本格的に授業についていけなくなった。
高校時代も勉強のストレスという言い訳で、大量のゲームをプレイしたが脳汁が出るほどのゲームには巡り合わなかた。どちらかというと高校時代は小説からの影響を強く受けていた時期になるようだ。
ライ麦畑でつかまえて
中二病で洋楽にハマった後は、海外文学にハマっていた。海を越えて日本に伝わってきた小説は、日本の小説よりも1段階レベルが高いと感じて、ミーハーな僕は有名どころを読み漁っていた。
その中でも『ライ麦畑でつかまえて』は大好きだった。当時同世代だった16歳の主人公ホールデン・コーンフィールドの社会への反発や内的世界の構築には共感するところが多かった。タバコも酒も女も何もない高校生活だったけどさ。
結局のところ、ライ麦畑の捕まえ役になれていない僕だけど、いまだにホールデンへの憧れはあるね。
コンコン。ん? ああ、藍染隊長が扉ノックしてるみたい。憧れがなんとかってさ。
十二国記
異世界転生もので一番好きな作品。
勉強がだるすぎて、僕も陽子のように異世界に旅立って王になりたいと願っていた。
けど、僕に麒麟が訪れることはなかったんだ。
今の子達は「転スラ」で同じ感慨に耽るのかもしれない。贔屓目だろうが、僕の異世界ものを形作る作品が「十二国記」で本当に良かった。
ノルウェイの森
終始薄暗い雰囲気の中、セックスを繰り返し、オシャレな言い回しが止まらない闇を抱えた登場人物が生と死の狭間でクールに葛藤する。
「ノルウェイの森」を読み終えた時、僕は村上春樹無しでは生きていけない人間になっていたかもしれないし、そうでないかもしれない。
テーマは「喪失と再生」。多感な学生時期に、春樹のポエムは心にズドンと響いた。『ノルウェイの森』に出会ってから20年、哀しみを学びながらも、新しい哀しみは続いていく。
どのような真理も、どのような誠実さも、どのような強さも、どのような優しさも、その哀しみを癒すことはできないのだ。
われわれはその哀しみを哀しみ抜いて、そこから何かを学びとることしかできないし、そしてその学びとった何かも、次にやってくる予期せぬ哀しみには何の役にも立たないのだ。
ノルウェイの森 本文より
知と愛
僕はいまだに、知も愛も極めていない。
それでも僕の人生には、凡人なりに知と愛が蠢いている。知に生きるナルチスと愛に生きるゴルトムントの人生が再度交わるラストは脳汁ドバドバだった。
たとえ時代の寵児・ひろゆき様にヘルマン・ヘッセを勧めるやつはクズと酷評にされても、僕はヘルマン・ヘッセが大好きなんだ。おすすめすることを許してくれ。どう考えても『1%の努力』よりは面白い。(いや正直にいうと『1%の努力』もかなり面白かった)
Every Little Thing – commonplace
誰もが人を好きになるように。当時の僕は持田香織が好きだった。
彼女の声を聞くだけで震えた。
『ソラアイ』を何度も聴いては涙した。
ひどく曖昧な空? 僕はまだそこにはたどりつけていない。
今では、大好きだったモッチーの存在すら忘れてしまうことがある。恐ろしい。キヲクの欠落。
過去を思い出し、愛のカケラを集めなくては……
モッチーモッチーモチモッチー!モチモチモッチー!モチモッチー!
今日もELTは僕を狂わしていく。持田さん出産おめでとうございます。
ロードオブザリング
人間・ホビット・エルフ・ドワーフ・魔法使いたちの衝撃的な世界観を脳の根幹に叩き込んでくれた最強のファンタジー作品。時系列を調べたことはないけど、これ以降のファンタジー作品は全てロードオブザリングのパクリだと勝手に思ってしまうほど、完成されていた。
特にオーランドブルームのエルフは美しすぎて、僕の人生での歴代イケメンランキングでは常にトップに君臨している。
The OC
主人公マリッサ・クーパー役のミーシャ・バートンが女神様のように可愛すぎた衝撃作品。ルッキズムの真逆だが、その美しさから人種の壁というものを否応なく考えさせられた。今でも定期的にミーシャの美しすぎる笑顔を思い出してしまう。
それにしても何故こんなにも美しい人間が不幸になっていくのだろうか……。ミーシャ・バートンの人生自体がコンテンツといえる偉人である。薬漬け、激太り、飲酒運転とスキャンダル塗れでも、僕は最後まで、あの美しい笑顔を忘れないでおこうと誓った。
浪人時代の7本(2007〜2008年)
僕は見事大学受験に失敗した。僕の次に、僕のことを理解する両親は、実家では絶対に勉強しないと予備校の寮に僕を収監することに決めた。たしかに実家ではゲームをし続けて勉強をしないと判断した両親は正しかった。僕は神妙な面持ちで県外の予備校へ入寮した。チューインガムを忍ばせたエルマーの如く、ポケットにPSPを隠し持ちながら。
涼宮ハルヒの憂鬱
世はまさに深夜アニメ全盛期。平野綾も全盛期。そして浪人中の僕は人生の絶望期。
浪人中は予備校の寮にぶち込まれていた。監獄だった。友人の持ち込んでいたポータブルDVDで奴隷たちはたくさんのアニメをみた。唯一の癒しだった。
死んだ目をした男まみれの寮ではハルヒ派、みくるちゃん派、長門派、鶴屋さん派、キョンの妹派に分割されていた。僕は王道にハルヒ派だった。
ハルヒはいう。「ただの人間には興味ありません。この中に、宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい」。
そういう意味では、予備校寮の住人たちはハルヒのお眼鏡に叶うのかもしれない。勉強したくない。女の子に会いたい。いい大学行きたい。センター試験受けたくない。みんな目が血走っていた。僕たちは去年までただの人間の高校生だった。浪人中は日々絶望していた。僕たちは欲望の悪魔だった。
らき☆すた
何かに没頭するにはタイミングというものがある。
僕が『らき☆すた』を読むのは浪人中で間違いなかった。何周も執拗に読み返した。
僕はつかさちゃん派。けいおんだと、むぎちゃん派だが、みゆきさんはそこまで刺さらなかった。どうでもいい情報だが、浪人仲間はツンデレがかがみん派が多かった。
ひぐらしのなく頃に
今ではネタだが、当時の竜宮レナの「嘘だ!」にはちびりそうなほどビビった。
出題編と解答編の構成から、謎が徐々にわかっていくクイズ形式なのが非常に良い。コナンでも解けない謎だとは思うが、推理しながら読み進めていくのが非常に楽しかった。
雛見沢村、鬼隠し、皆殺し、ひぐらしのなく頃にとネーミングセンスが非常に素晴らしいし、村八分や神隠しのような田舎な雰囲気も最高だった。台詞回しがイタいのはご愛嬌。
NHKにようこそ
僕にも日本ひきこもり協会(NHK)の魔の手が差し迫っていた。予備校で勉強するのも嫌だし、模試も嫌だし、人に会うのも嫌だった。寮に引きこもって、天井を見つめながら妄想しているのが楽しかった。
登場人物は自己肯定感低めの僕からみても、クズばっかり(特に佐藤くん)の本作を読むと救われた。
「いつか岬ちゃんがひきこもりから救ってくれる。僕は大学に受かるんだ。」と監獄のようなワンルームのベッドに寝そべり、暗闇で薄ぼんやりと見える天井のシミを見ていた。あれはシミじゃなくて……
「ゴミムシ!」
最終巻の岬ちゃんの卒業証書は涙腺崩壊だった。
ローゼンメイデン
美しい人形たちのバトルロワイヤル。繊細なタッチで心が躍った。僕は翠星石派だった。
『NHKにようこそ』といい、引きこもりが主人公の作品への共感が半端なかった。
モンスターハンターポータブル2nd
予備校の寮には食堂に共用テレビがあるだけで、浪人中ゲームはできない環境であったが、僕は文明の利器であるPSPを所有していた。勉強するために厳しい寮に入ったという本来の目的を忘れて、夜中に隠れてモンスターハンターをする僕の姿は大変滑稽であった。
このゲームしてなかったら、第一志望の大学に受かっていたと思う(ネタバレ)。とはいえ、このゲームの中毒性はエグかった。
AIR
ゲームで一番泣いたと思う。泣きゲーの第一人者。音楽、シナリオ、絵柄の一挙手一投足が僕を泣かしにくる。
成績が伸びずに弱った心に突き刺さる観鈴ちんの笑顔は泣けた。そして、2度目の大学受験も失敗して泣けた。
大学時代の11本(2008〜2012年)
浪人するも大学受験に2度目の失敗をしたが、後期試験でなんとか駅弁大学に滑り込むことに成功した。
僕が浪人中にやりたかったことを爆発させる人生の夏休みが始まった。
コードギアス
主人公・ルルーシュは戦術家の才能と一度だけ何でも言うことを聞かせられるギアスを持って、超大国神聖ブリタニア帝国が支配する世界で革命を進めていく。ロボットによるバトルシーンだけでなく、ミスリードを誘う凝ったシナリオや伏線回収が素晴らしく、次回が観たすぎて1週間経つのを祈ってたほどだった。
CLAMPデザインの魅力的なキャラクターたちをバンバン殺していく潔さも緊迫感があって良かった。何よりルルーシュがただの正義感あるヒーローじゃなく、感情を捨てた優先順位徹底した職人ぶりに好感を持てた。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。貴様たちは、死ね!
アニメ第一話より
沙耶の唄
『沙耶の唄』は、初めてプレイしたムフフな18禁ゲームだった。
友人に勧められてエロ目的でワクワクしながらプレイしたのだが、主人公が交通事故の脳の後遺症で世界が狂ってしまい、世界がくそキモい肉塊に見えて唯一沙耶という女だけ美少女に見えるという、当時過去一グロい話だった。
ムフフなシーンはほぼなくて、終始グロテスクな内容のため友人に騙されたと思ったが、プレイ後は感動で脳汁ドバドバだった。シナリオ作家は虚淵玄。このエログロゲー作家が『魔法少女まどか☆マギカ』のシナリオライターとして一世風靡するなど、この時は知る由もなかった。
iPhone 3G
はじめて買ったスマホで生活を変える衝撃的な製品だった。当初は日本製のスマホを買おうと色々試してみたが、どう考えてもiPhoneのレベルが高すぎてソフトバンクにキャリア変更してでも手に入れた一品。
衝撃的な使いやすさだった。ソニー信者からりんご信者に変わるきっかけだった。PCもバイオtype-LからMacBook Airに乗り換えてしまった。以降2022年に至るまでiPhoneとMacの二代巨頭は続いている。
パズドラ
大学時代の脳汁コンテンツで絶対に外せない逸品。
スマホゲームといえば『パズドラ』というくらいの人気作品で、ミーハーな僕はもちろん遊んでいた。金はないので、ほぼ無課金で遊んでいたので、何とか廃人にはならずに済んだ。とはいえ、時間はかなり奪われた。
スキルの組み合わせによる戦略性、パズル自体の面白さ、ガチャのギャンブル性による興奮は世の学生たちを魅了した。
『パズドラ』にハマらなければ、年収が1.5倍くらいになっていた人は日本中にたくさんいるだろう。『パズドラ』はピラミッドが建てられるくらい日本人の時間を奪い取った魔物。
ファイナルファンタジーⅩⅢ
初めて3徹してクリアした作品。本当のこと言うとラスボス前にラスト2時間ほど強制的に意識を失ったが、それでもクリアまでほぼ寝なかった最初で最後のゲームだろう。発売日の夜中にゲームを手に入れて、日本で一番最初にクリアしてやろうと躍起になった。(フラゲなんて思いつかないほど純粋だった)流石にムービーは飛ばさなかったので、日本一はないだろうが、100人以内には入ったんじゃなかろうか。
証拠もないし、意味もないが、意味がないことをやったという人生のトロフィーにはなったであろう。ゲーム自体が面白かったかは問題じゃない。やるかやらないか。僕はやった。君はどうする?
バイオハザード5
オンラインゲームの素晴らしさをガチガチで体感した作品。ゴリラとなったシリーズお馴染みのクリスとセクシー黒人女性のシェバのタッグで、2人での協力プレイを全面に押し出した傑作。
このゲームで僕はたまたまマッチングしたとあるイタリア人とマーセナリーズという全国で得点を競うゲームに熱中した。イタリアボーイは姉が日本語の先生ということで、日本語が少し話せた。最初の村ステージでは、2人で全国でもまあまあなランクまでたどり着いたときの高揚感は今でも忘れられない。
現実世界でもオランダの方と仲良くなりリアルでも本ゲームをプレイした。オランダの金髪清楚美女が「f**k,f**k」叫びながら、ゾンビを殺戮していた。僕の性癖に大きな影響を与えたゲームでもある。
ミレニアム
前述の『十角館の殺人』にハマってから、『このミス』を毎年読むくらいにはミステリー作品にハマっていた。残念ながら『このミス』の2010年の海外編で『ミレニアム』は2位ではあったが、正直個人的には1位『犬の力』とは比べ物にならないくらいのクオリティだった。(個人的な感想)
ていうか、『ミレニアム』を読んだ後だと、他全てのミステリー小説がレベルが低いと感じてしまうほどで、作者が命を削って生み出した濃厚な論文のような凄みがあった。映画版の『ドラゴンタトゥーの女』も観たけど、やっぱり小説が凄いと思う。3部作で作者が亡くなったため、続・3部作を引き継いで書かれている。僕はやはりというか、良かったなぁという思い出で終わらせたいので、続・3部作は読んでいない。
殺戮に至る病
この頃の僕はミステリー好きというより、叙述トリックやどんでん返し中毒になっていた。
単純にミスリードさせられて、後でびっくりするって本を求めていた。探していく中で、いくつもの良作が僕の脳汁をどばどばにしてくれたが、思い返すと『殺戮に至る病』が一番脳内ホルモンが分泌されたと思われる。我孫子武丸さんといえば、かまいたちの夜のイメージが強いが、小説も素晴らしい。
DDD
中二病界最強作家・奈須きのこ先生の長編作品。
『空の境界』も大好きだが、作品自体の雰囲気がよりホラー調なのと、野球の話が多くて『DDD』の方が個人的には脳汁が出てた。
ただし『空の境界』と違い未完なので注意。主人公・石杖 所在の妹で、身体能力の成長の限界がない最強の能力者・石杖火鉈が活動を開始した激アツ展開で中断されてしまった。FGOのシナリオ等お忙しい先生なので、続きがいつかわからないが、僕の中二心が尽きるまでには更新してほしい。
1Q84
7年ぶりの村上春樹先生の新作で内容がわからずとも売れまくり、書店から本が消えていた。
ちゃんと予約していたので、発売に入手はできた。ずっと長編が出ておらず春樹成分が抜けていたので、発売日に一気見して脳汁が溢れかえった。
グラン・トリノ
映画史上最も号泣した作品。(僕は意識が芽生えてから人生で号泣したことは数回しかない)何故あんなに泣いてしまったか、今でもわからないが、エンドロールの時は泣きすぎて前が見えなかった。元々クリントイーストウッドは好きだったが、『グラントリノ』で神へと昇格した。
大学院時代の5本(2012〜2014年)
研究なんかつまらないと思っていたが、そこそこ楽しくなってきて大学院に行って研究したいと思うようになっていた。大学院入試を落ちたらマジで人生終了なので、毎日深2時くらいまで勉強した。生涯で一番勉強したと思うし、今後もこれ以上勉強することはないと思う。勉強や研究の苦痛にも耐えられたのは、やはり定期的に摂取していたコンテンツであった。
ポケットモンスター X・Y
幼少期にポケモン初代に没頭して以来、ポケモン大好きではあったものの、ストーリークリア、図鑑集め、仲間内の対戦とライトな遊び方しかしておらず、厳選(個体値・色違い・特性)・努力値振り・戦術の考察といったコアな部分には触れていなかった。
ポケモン廃人といっていい後輩との出会いで、僕のポケモン世界が一変することになった。
当時の僕は若さゆえに過酷なスケジュールをこなしていた。大学院生なので夜中の12時まで研究。研究中も卵育成を並行で実施(3DSのスティックにアイスのスプーンを挟むことで自動的に孵化させる技を発明した)。朝の5時まで後輩とレートバトルをしながらお互いの戦法を評価し合った。次の日に厳選するポケモンを相談をして、帰宅し2時間ほど寝て、また研究室に向かっていた。バイトの夜勤もしていたのでポケモンに参加できない日もあった。
なぜこんな辛い思いをしながらポケモンをしていたのか、今の僕にはわからない。時々寝坊して、教授に「卒業させない!」とブチギレられたときもあった。研究しなきゃ、でも眠たい。それでも、第一優先はポケモンだった。人生で最も頑張ったときと聞かれたら、浪人中とポケモンXをしたことと胸を張って言えるだろう。それが誇りだ。
ポケモン廃人の後輩は、見事有名企業に就職した。僕は有名とは言えないが、そこそこの企業に一応就職できた。残念だが、僕と後輩との差はポケモンへの情熱の差だと思っている。研究よりも、もっとポケモンを優先していればと悔やまれるが仕方ない。
The Last of Us
少女を守りながらゾンビの世界を冒険するゲーム。ゾンビゲームといえば、『バイオハザード』の二番煎じ的なものが多かったが、『The Last of US』については、ストーリー、ゲームシステム、グラフィックの全ての面で『バイオハザード』を完全に超えてると感じた。(個人的な見解)
続編のPartⅡも最高だった。ゲームシステムはほぼ同じなので、脳汁的には本作ほど出なかったが、衝撃的な内容だったことは間違いない。
Dr.HOUSE
「人は嘘をつく」が口癖の偏屈な薬物中毒者で皮肉屋のグレゴリー・ハウスは天才医師で、誰もが特定できない病気の正体をどんどん見破っていく。
シーズン8まで続いた長期ドラマだが、最後までずっと面白い。そしてラストもとても素晴らしい終わり方だった。
ハウスのブラックユーモアを超えた最低な皮肉が好きすぎて、皮肉屋に憧れたりもしたが、愛とセンスのない皮肉はただの侮辱行為である。円滑な人間関係の中で人生を送りたければ、ウィルソン医師を目指した方がいいのは言うまでもない。
ブレイキング・バッド
まじめ一辺倒で生きてきた化学教師が癌で余命宣告され、家族にお金を遺すために覚醒剤を密造し、悪の道で売りまくるというプロットだけでワクワクする。『ブレイキング・バッド』はこのワクワクする内容を最高の映像を表現した傑作だ。
マリア様がみてる
魅力的なキャラクターしか存在しない最強の百合小説。尊い。
僕は初期から主人公のお姉様である小笠原祥子様推しだった。気が強く完璧な祥子様ですら悩みを抱えている。祥子様が卒業するシーンでは、心が抉られて、引きこもり気味な僕がさらに外に出たくなくなった。
『マリみて』の素晴らしいところは、繊細な心の描写に尽きる。天才作家・今野緒雪先生は繊細に揺れ動く乙女たちの心を巧みに表現している。彼女たちは、ちょっとしたことですぐに傷つくし、深読みしてすぐに悩む。悩みすぎじゃないかと思うこともあるが、その繊細さと不安定さこそが青春であり、成長につながる素なのである。コンビニで傘を盗まれたこと=お姉様をとられた心情に結びつけたストーリー展開は度肝を抜かれたのを今でも覚えている。
本作を読んだ乙女に憧れる男の子たちは、来世は乙女となり、由緒正しき女子校で青春したいと思ってしまうだろう。(実際はドロドロしてるんだろうけどさ)
社会人時代の7本(2014〜)
社会人になり大学院での地獄のような研究がなんだったのかというくらい低レベルな作業を長時間繰り返している。
工程管理、取りまとめ、客先に出向いたりと、いわゆるコミュ障の僕には不向きな内容だけど、生産しているゴミの割に給料がそこそこもらえるのでギリギリ我慢できている。転職したいと思ってはや数年、おそらくそんな気力もないので病気になるまでは続けていくだろう。不満しかないが、そんな僕を救ってくれいるのもコンテンツなんだ。
ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド
世界中のゲーマーに感動を与えた傑作。
絵本のようなグラフィックの世界を大好きなリンクになって、何があるかわからない場所を冒険していく!
毎日仕事を繰り返していくなかで、退職までエンドレスで続いていくという絶望的な社会人に刺激をくれた。感謝しかない。
サピエンス全史
石器時代から現代までのホモ・サピエンスの歴史を天才歴史学者が語ってくれる。人類に対する新しい知識のオンパレードで、まるでSF作品を読んでいるような気持ちになる。
辛いことがあっても「人類全体の歴史でみたら大したことじゃない」と思えるので、歴史本はほんとに心の癒し。
ストーナー
前述の『ライ麦畑でつかまえて』が青春のほとばしる怒りのようなアグレッシブさに溢れているが、この『ストーナー』は人生への諦めから一筋の希望を探すような終焉を感じるディフェンシブなアメリカ文学である。
本作は淡々とストーナーの人生を描いている。貧乏な農場に生まれ、英文学に魅了され大学講師となり、ロマンチックな恋愛と結婚、しかし徐々に訪れる結婚生活の崩壊、戦争による友人の死、若い女性との不倫と別れ、大学内の昇進争いと裏切り、そして穏やかに訪れる死。
『ストーナー』は物悲しい負の雰囲気が終始漂っている。ストーナーの人生は、現代の僕らの人生よりは紆余曲折あるイベントの多い人生だと思う。しかしながら、本書の中ではストーナーの人生など、取るに足らない「誰にとっても必要のないモノだ」という主張をヒシヒシと感じる。平凡でつまらない生涯の中でもストーナーは、希望とはいえないまでも煌めく瞬間を僕らに垣間見せてくれる。
僕らの人生なんてこんなもの。自分というちっぽけな存在を理解しているのか?
と都度投げかけられている気になってくる。社会人になって、ループする日常に入ったからこそ、この『ストーナー』という作品が心に響いた。人生観を変えてくれる名著だった。
ストレンジャー・シングス
社会人になって良かったことは数える程度しかないが、その筆頭がNetflixと出会えたことだ。こんなにもたくさんのコンテンツと触れ合える体験が月額千円ちょっとで得られるとは、僕が子供の頃には考えられなかった。
Netflixは時価総額がトヨタに迫る勢いのまま自社でのオリジナル作品を出し始める。Netflixオリジナル作品でも特に素晴らしいのが『ストレンジャーシングス』だ。
80年代のミステリーやホラー作品の雰囲気がとても新鮮で、『E.T』や『スタンドバイミー』といった少年少女の冒険風味もサイコー。『サイレントヒル』のようなモンスターも大量に出現するし、『バイオハザード』のような恐怖演出も多く、『BEYOND:Two Souls』のような超能力ものでもあるゲーマーでも超楽しめる作品だ。
特に子役の演技が凄すぎる。イレブン役のミリー・ボビー・ブラウンは大女優になるだろう。鼻血を流しながら、超能力を振るう鬼気迫る演技は鳥肌がたつ。本当にすごい。時代はNetflixだ!!
アイデア大全
社会人になって自己啓発本を読むことが多くなった。自己啓発本を読むのは、仕事ができるようになりたい気持ちよりも、読んだことを実行して地獄の社会人生活が少しでも楽になれればいいなぁという淡い期待からである。
自己啓発本はエナジードリンクに揶揄されるが、まさに読んだ時だけできる気がするイリュージョンのような本が多い。そして書かれている内容もエビデンスが乏しかったり、本によって真逆のことを言っていたり、似たような話を薄めたような内容だったり、作者の感想だったりと残念な内容のものが非常に多い。(体感9割は残念)
『アイデア大全』は玉石混淆の自己啓発業界の中で本物といえる素晴らしい一冊だった。この本と出会うために僕は自己啓発のゴミ山を漁っていたのだった。読書猿先生の『問題解決大全』や『独学大全』も良書であるので、本書が気に入ったなら、合わせて読むといいだろう。
おやすみプンプン
クソ鬱漫画『おやすみプンプン』は、ヒヨコのような見た目のふざけたプンプンに心をみじん切りにされるメンヘラ作品。閲覧注意だが、中毒性があり定期的に読みたくなるので、本棚から処分できない。
愛子ちゃん……愛子ちゃん……
あさひなぐ
少年誌のスポ根漫画ほど汗臭すぎないのに、スポ根より熱い展開といういいとこ取りしたようなナギナタ漫画。スター選手だけでなく、全ての登場人物が何かしら輝いている。社会人になってマンガすら読むのが億劫になってたところ、久々の読む手が止まらなくなったマンガ。
全34巻だが、一気に読み終わること間違いなし。推しはライバル高のエース・一堂寧々様。
この記事を書いた感想
記事を書いてて、すっごい楽しかった。
人生の大部分をテレビゲームをして過ごしている気がするが、脳汁でるほどハマったコンテンツとして考えると、意外とゲームが選出されなかったことに驚いた。ゲームは常に脳汁が出てるから、気がつかなかったのかもしれない。
社会人になって8年間で7本しか脳汁が出てないと思うと、感性や集中力が劣化していると言わざるを得ない。社会人になり、経済的な余裕とサブスクの充実化により、コンテンツの摂取量としては増えていると思うが、ただ消費するだけで脳汁がでるほどハマることが少なくなっている。経験から脳汁耐性が出ていると信じたいが、おそらくそうではないだろう。
もっと楽しいコンテンツに触れたいという情熱はあるものの、長時間ゲームをする体力も無くなってきており、楽しいことよりも睡眠を優先することが多くなってきた。今後もコンテンツを楽しむためには、運動して体力を続ける限り、
最後に2万文字近い長文となってしまったことを心より謝罪したいと思う。自分の文章をまとめる力のなさに辟易とするも、文章を絞り出す情熱がまだ残っていたことだけは認めたいと思う。
ここまでの長文に付き合ってくれてありがとう。僕はこれらコンテンツ同様に君たちのことが大好きだ。