はじめまして、オラの名前は野原しんのすけ。5歳。幼稚園児だ。
オラたち一家は、父親・ひろしの九州出張に合わせて、母親・みさえの幼馴染ヨヨコの家に1週間泊めさせていただくことになった。
オラの両親は、非常識な部類の人間である。おそらく、ヨヨコが「泊まっていいよ」と建前でいったことを鵜呑みにして、1週間の熊本へのバカンスをタダで楽しむことを提案したのであろう。身内から見ても圧が強い両親であり、ヨヨコには同情してしまう。
そんなこんなで野原一家は高輪ゲートウェイよりもふざけた地名のアッソーで1週間の夏休みを過ごすことになったのだ。
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小さいコミュニティへの迎合だゾ
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自分でいうのは恥ずかしいが、オラは生まれながらにコミュ力が高い。
どんなグループでも、問題なく人間関係の輪に加わることができる。
オラのテクニックを紹介しよう。
まず、集団の中心人物に失礼なことをする。その人物が最も言われたくないであろう芯をつくような一言を模索したり、意味不明な一言で、虚をついた攻撃を食らわせる。相手をイライラさせることが重要だ。イライラさせると相手は弱点をさらけ出してくる可能性が高くなり、攻略の筋道が見えることが多い。
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この手法では、敵を作ってしまう可能性も高いが、新参者でも注目を集める存在となり、容易に舐められない存在へと昇格することができる。(ちなみに海外ドラマ・メンタリストの主人公がよくこの手法を用いる)
次に大事なのはギャグだ。緊張を与えるだけの存在であってはならない。適度に場を和ませる必要がある。
オラはつかみで尻を出したり、股間に象の絵を描いて踊ることが多いのだが、近年のコンプライアンスが厳しい世の中では5歳児といえどもハラスメントに厳しい。今回は田舎ということもあり、直接肌を見せずにお尻で踊るという手法を取ることにした。オラはこれを「ケツだけ星人」と呼んでいる。
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これらのテクニックを駆使することで、半日もすれば、アッソー村でもオラの居場所は確立された。田舎者は疑うことを知らない。チョロいものだ。
もしオラが将来営業職について、投資や口座といったノルマある仕事をすることになったならば、アッソーの村人をターゲットにしたいと感じるほどだった。
無事アッソー村でも上手くやっていけそうだ。
とはいえ、知り合いのいない初めての土地で5歳児をこれほど放置して良いものか。と両親の無関心さに不安になりつつも、せっかくなのでアッソーの自然を満喫することにした。
みさえはヨヨコの店の机を取りつかれたように拭いていたので、オラは1人でアッソーを楽しむことにした。
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田舎でも流行るパパ活だゾ
小さな村をうろうろしていると八百屋、変なカレー屋(忍者がコンセプト)、そして小さな新聞社を見つけた。
新聞社には女子大学生の黒髪美子という美人なアルバイトがおり、オラはアッソーにきて最もテンションが上がった。派手なオーバーニーソックスを履いており、少しファッションには鈍感だが、話してみると素朴で少し天然が入った良い娘であるように感じた。
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オラの将来のお嫁さん候補に入れようと考えたが、残念ながら美子には好きな男性がいたのであった。
恋のお相手は新聞社の社長であり、ヨヨコの父でもある守であった。守と美子はおそらく30歳以上は年が離れているはずだ。そこまでの歳の差の恋愛は、聞いたことがない。高橋ジョージと三船美佳でも24歳差らしい。
都会育ちのオラは守と美子の関係が、パパ活であることを確信した。そもそもアッソーのような田舎に大学なんてなさそうだ。美子は守からバイト以上の給料をもらっているに違いなかった。
「新聞社を大きくしたら、しんのすけとデートしてあげる」
美子から突然の提案であった。
しんのすけという名は、ユーモアがありモテる男の象徴であるが、今回ばかりは違うことがすぐにわかった。「美子を解放してほしければ、新聞社を大きくしろ」との守からの交換条件だ。面白い。受けて立ってやろう。
それにしても、守は危ない男だ。村人に自身のことをキャップと呼ばせ、幼稚園児のオラに世界に通用する記事を書けと言う始末だ。狂っている。
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ひろしとみさえにも相談すべきところだが、アイツらにはきっと何もできないだろう。みさえはまだ雑巾で同じ机を拭いている。やれやれ、狂気的だ。
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恐竜が動き回る世界だゾ
パパ活程度であれば、大都会カスカベでは日常茶飯事なので、まあ理解はできる。
しかし、アッソーには、どうしても納得できないことが2つある。
1つは、春日部の友人(風間、ネネ、マサオ、ボー)に瓜二つな子供が住んでいた。しかも、性格や名前まで似ている。こんな偶然があるだろうか。
もう1つは、謎の恐竜たちが我が物顔で村を闊歩しているのだ。プラキオサウルスから始まり、プテラノドンやステゴザウルスのような恐竜たちがアッソーを徘徊している。オラは何度も踏み殺されそうになった。
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アッソーでは、ありえないことが起きているが、村人のリアクションは明らかに普通ではない。最初は恐竜に驚くものの何の対策もせずに普通に生活を続けるのだ。
ここで、オラは一つの仮説を立てる。
この世界はオラが作り出した世界であるという仮説だ。
オラが夢を見ているか、ラリっているか、精神を操られているか……そうでないと、説明がつかない。少なくともこの世界が現実だと受け入れるのは難しい。
タイムリープする世界に立ち向かうゾ
滞在最終日にアッソーが異常だと決定づけるイベントが起こった。
カスカベに帰る道のりで眠気に襲われ、気がつくと、なんとアッソーにきた初日に戻されたのだ。
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オラはこの現象を知っている。
タイムリープだ。
そして、タイムリープ物にありがちなオラ以外はタイムリープしたことに気が付いていない現象が発動している。
夏への扉やひぐらしのなく頃といったタイムリープものが好きなオラはこの現象をいち早く理解することができた。
そういえば、長らくオラとアニメの覇権争いをしていた青ダヌキのアニメもタイムマシーンが登場したていたな。
オラはアッソーで今まで会っていない村人の仕業だとふんでいる。おそらく巨人族の仕業だ。まだ確認はできていないが、巨人が住んでいる証拠を集めたので貼っておく。
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君ならアッソーからどう抜け出す?
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あれから体感時間で何年経過しただろうか。
幾度となく夏休みを繰り返したが、オラは長い夏休みを終えられていない。
実はもう15532回のタイムリープを繰り返している。オラがタイムリープしたことを聞いても、信じてくれる村人はいない。長門有希やジョン・タイターの気持ちは痛いほどよくわかる。
唯一の希望の野原一家も頼りになりそうにはなかった。
ひまわりは何も喋らない。
ひろしは風呂は一緒に入りたがるが、それだけだ。
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みさえはまだ机を拭いていた。あまり会話もしてくれない。
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色々試したが、オラはおそらく、この夏休みから抜け出すことはできないゾ。
あの日常に戻りたい。カスカベに帰りたい。
そう思ってた時期もあったが、このまま5歳児のままを皆と過ごすのも良いかもしれないと思い始めている。永遠に大人にならない5歳児として。何故かカスカベに帰っても、それは変わらない気がした。
君ならアッソーからどうやって抜け出しますか?
それとも、アッソーで一生暮らしますか?
その答えはゲームをプレイして、たしかめよう。
ゲーム情報をまとめるゾ
ジャンル | ちょっと不思議な夏休み体験アドベンチャー |
対応機種 | Switch |
開発会社 | ネオス |
販売会社 | ネオス |
プレイ人数 | 1人 |
- クレしんゲーム史上いちばん綺麗なグラフィック!
- ぼくなつスタッフによる溢れ出るぼくなつ感
- オリジナルキャラが原作にでてきそうな雰囲気で良い
- 魚つりや虫取りの種類が豊富
- ケツだけ星人がダッシュなのは面白い
- 恐竜バトルが面白い
- 子どもでも十分楽しめる難易度
- 絵日記システムが良い
- 恋バナ多め
- ストーリーがとんでも展開なのに尻すぼみ
- ひろし、みさえ、ひまわりが空気。ほとんど関わらない。みさえはずっと机を拭いているだけ
- ケツだけ星人が尻を出さない
- カメラ固定なのに角度が最悪。遠すぎて何してるかわからないエリアも
- 時間経過システムが店舗悪くしてる
- 掲示板のお手伝いシステムがダレる
- 畑がある意味がよくわからない
- 街を彷徨う恐竜が鬱陶しい
- 恐竜バトルがワンパターンなのですぐ飽きる
- 女子大生とバツイチのおじさんの恋愛は流石に痛い
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以上、たなやしきが「しんちゃん」になって「クレヨンしんちゃん」の「オラ夏」レビューでした。
荒削りな点も多いですが、夏を感じられる素敵なゲームだったと思うのでぜひプレイしてみてね。