カプコンのソフト「逆転裁判」という名作ゲームシリーズをご存知でしょうか?
弁護士になって、罪をなすりつけられた可哀想な被告人を弁護して無罪を勝ち取るゲームです。
逆転裁判は主に「探偵」と「法廷」の2つに分かれています。「探偵パート」では、裁判で勝つために情報や証拠品を探します。「法廷パート」では、見つけた情報を使って疑惑の証人たちの証言を矛盾をつくことで、真実を暴きます。
逆転裁判では弁護士にならないと体験できないようなドキドキを体験できますが、実は僕も会社で同じようなドキドキを体験しています。
ドキドキは主に会議で起こります。
僕の会社には、怒りの沸点が低く、弁舌に非常に長けた先輩・EM子がいます。EM子は男性ですが、M-1の審査員も務める某有名お笑い芸人さんと喋りが似ているためEM子と呼ばせていただきます。EM子は圧倒的な知識と話術と迫力から、誰も意見を言える人はいません。
僕はEM子と会議になることが多く、よく激昂されています。EM子との会議は裁判と似ています。
突然EM子よりメールによる通達が届きます。
「早く打ち合わせ調整しろ!」
裁判開始の合図です。無視していたら怒鳴られますので、数時間の間に聴衆に連絡をとり、裁判の準備を始めなくてはなりません。
\開廷!/
会議という名の裁判が始まりました。会議主催者という名目の被告人である僕の口から会議という名目の裁判開始の合図を出します。
会議が始まり、僕はオドオドしながら、議題の説明をします。
たなやしき 「こ、今回の会議では……えっとですね……◯◯案件のことでご相談がありましてぇ……」
バンッ!!!
「異議あり!」
机を力強く叩いたEM子は続ける。まだ何も意見を言っていないのに。
EM子「お前は何を言っているかわからん。私が思うに……(ペラペラ)」
聴衆は皆ペコペコしながら、EM子の美しくも激しい弁舌に耳を傾けた。僕は真摯に定期的に頷きながら、今日の昼食の弁当ーーからあげ弁当のことを考えていた。
バンッ、バンッ!!
「異議あり!!」
EM子は叫びコチラを睨んでいる。
EM子「◯◯の作業はやったのか?」
(もちろんやっていない。しかしながら、やったと嘘をつけばエビデンスを求められる。ここは正直に話すことを選択する。)
僕「やってないです」
EM子「では、△△はやったのか? ずっとフォローしているぞ?」
(もちろんやっていない。しかしながら、やったと嘘をつけばエビデンスを求められる。ここは正直に話すことを選択する。)
僕「まだできてないです」
EM子「なぜやっていない。いつまでにやる。期限を切れ。進捗を皆に展開しろ」
(忙しいからできていない。しかし、忙しいなどと口に出せば、有罪は確定している。ここは言い訳をする)
僕「確認はしているのですが、返信がまだ来ておらず……」
バンッバンッバンッ!!
「待った!!」
僕「さ、裁判長……。まだ喋ってます。」
EM子裁判長「異議は認めません。EM子続けなさい」
裁判長もEM子だった。
法廷には裁判長とい権限を持つ役職がいるが、会議室にはもちろんいない。声が大きいものが裁判長となる。ちなみに逆転裁判にもサイバンチョがいるが、彼もまた威厳がなく検事になめられていることが多い。
勇者「まあまあ、そこまで言わなくても。他に作業が多すぎてできないんでしょう」
「くらえっ!!」
EM子「◯×△□◇アアぁああ゛、ミンナイソガ死井!!」
なんと優しい勇者……しかしながら、EM子の標的となってしまった。僕は勇者に感謝しつつ、夕飯に何を食べるか考えた。
ドンッ!ドンッ!
「待った!!」
EM子「お前話聞いているのか?」
EM子は僕の方を見ている。勇者を下を向き、言葉を発することなく石像のようになっていた。
僕はドンと叩く回数を数えたり、夕飯に何食べようかを考えていた。
しかしながら、話を聞いていないなんて口が裂けても言えない。
僕「いいえ、聞いています」
EM子「そうか、じゃあ今日でた課題を今週中にやるように」
\有罪/
その日は木曜日。眠れない日々が続く。
三権分立。僕の会社では、モンテスキューの素晴らしさを身をもって体験できます。現実では一方的ですが、ゲームの中では相手に反論して、裁判に勝つことが可能です。
「逆転裁判」はゲームシステムだけでなく、魅力的なキャラクターたちのストーリーも面白いです。シリーズ6作品やスピンオフ作品も多く、新規で始めるのが難しいシリーズですが、1〜3までお得な価格で収録された成歩堂セレクションがありますので、購入して見てはいかがでしょうか。
プレイ後には、机を叩きたくなり、叫びたくなることでしょう。
「異議あり!!」